Resource

きもの豆知識

帯結び

上手に帯結びをしてもらうためには・・・

帯結びをしてもらう前に、ちょっとしたコツを知っておきましょう。結んでもらう人は結びやすいよう、肩幅と同じくらいに両足を開き、おしりを少し突き出すような姿勢になります。帯結びの最終的なきつさを決めるとき、大きく呼吸をしてしめてもうと後々苦しくなりません。また、胃のあたりに約3センチの厚さにたたんだタオルをあてて、帯を締め締め終わってからはずしたり、帯を締めた後に、帯枕の紐の位 置を下げておくと効果的です。少し知っておくだけで、一日快適な着物生活を送ることができます。

振袖のときに結ぶ帯の基本の形は三種類、文庫系・お太鼓系・立て矢系です。それぞれの特徴を知ってあなたの個性を引き出す形を探しましょう。

文庫系


文庫結びは江戸時代の武家の女性から始まりましたが、今では左右の羽が蝶々のように見えることから、「バタフライ」とも呼ばれています。 古典的な文庫結びをはじめオブジェのような華やかな帯結びからシックな帯結びまでアレンジは多彩です。歩くたびに羽根がゆらゆらと揺れ、可愛らしい後ろ姿を演出します。小柄でキュートな方におすすめです。

お太鼓系


お太鼓系を代表する帯結びが「ふくら雀」です。雀が羽を広げているような形であることからこの名前がつきました。豪華さと品格があり、後ろ姿が優しい印象です。お太鼓の大きさを変えるだけで身長の高さに関係なくどなたにも似合います。また、柄を選ばず、古典柄にも、モダンな振袖にもよく似合います。

立て矢系


立体感豊か、華やかな立て矢結びは、甘さを抑え大人っぽく演出できます。結びの大きな立て矢は、後ろ姿もゴージャスなイメージになり、背の高い大柄な方やきものの柄がシンプルな場合に映えます。姿勢良く、背筋をぴんと伸ばして、すっと通った立て矢を引き立てましょう。


成人式

成人式とは、本来、成年式、女子の場合は成女式と言っていたものであり、一人前の男女になったことを社会に認められる式のことです。昔の武家社会では男子が15歳・女子は13歳頃に元服の儀式が行われました。男子は冠をかぶり烏帽子(えぼし)をつけて前髪を落とし、女子は「髪上げ」といって大人の髪型にしました。男女共に着物の肩上げをおろす事により、成人した大人への転換とされました。村社会では若衆組への加入儀式があり、結婚するまで地域の警備・祭礼などに若衆頭の統率のもとに活躍。これにより一人前の成人した大人と認められました。

現代版成人式の由来

戦後間もない昭和21年11月に埼玉県蕨市で、戦争から戻ってきた若者たちを元気づけようと、町の青年団が主催した「青年祭」が始まりと言われている。  その後、昭和23年に「成人の日」として国民の祝日となりました。


卒業式

袴について・・ 袴姿は、年々、卒業式のスタイルとして、定着して参りました。 袴の歴史は奈良時代の裳(も)に繋がるようです。裳は、腰から下にまとう、ひだスカートのようなものでした。それが、やがて袴となり、宮中で仕える女性の日常着になったといわれています。明治になって女子学生が袴を制服として着用し、大正・昭和の初期まで続きました。

袴は仕立てによると3種類に分類されます。襠(まち)を高く裾を広く、武士の馬乗りに適した様に仕立てた仕立てた馬乗袴(うまのりばかま)。日舞に着用するために動き安いように脇開きが広い目に仕立ててある踊袴(おどりばかま)。襠(まち)の無い袴で、明治中期以降、女学生の卒業式用の袴として定着した行燈袴(あんどんばかま。卒業式に着用するような袴は、別称、袋袴または女袴といわれる行燈袴です。 女袴は、通常はスカート状の行灯袴(あんどんはかま)です。これを袖の小さい着物である小袖(こそで)とともに着用し、胸高(むなたか)で身につけます。小袖の胸元は襦袢と重ね、重ね着の味を出します。帯は、動きやすさや活動性を考慮した半幅と呼ばれる細いものを用います。 足下は、足袋に草履もしくは、モダンに靴下にブーツを着用します。 卒業式の袴姿は、女学校の制服として袴が用いられた大正から昭和初期の時代へのノスタルジーとともに、当時の先進的で活動的な女性のシンボルという意味もあるのでしょうか。


和装ブライダル

白無垢


清雅な美を代表する打掛から掛下まで全身すべて白で統一した神聖な式に臨む和装の代表的な式服である白無垢。無垢とは汚れのない混じりけのないという意味です。古来より、日本では白を清楚な色として好み、その清浄さゆえに神に仕え神を祭る色として祭服には白を用いました。室町時代末期頃には、「嫁ぎ先の家風に合わせてどんな色にも染まります」という意味合いが加わって花嫁衣装となり、今日まで継承されています。

こうした精神的な意味合いを含む白無垢は、現在でも最高の格式を持つ婚礼衣装とされています。最近はウェディングドレスでチャペル挙式が一般的になりましたが、清楚で厳粛な感じの白無垢に憧れる方も多く、根強い人気があり、写真だけでも白無垢を残しておきたいと希望される方も多いです。ホテルや結婚式場での挙式が普通になりました。しかし地方によっては、花嫁は結婚式の日には自宅で白無垢に着替え、家族の方々やご近所の皆様に見送られて神社に赴く風景が見られます。

綿帽子・角隠し


花嫁のかぶり物には綿帽子と角隠しがあります。本来は、式が終わるまで、夫以外の人に花嫁の顔を見られないためのものでした。綿帽子は袷仕立ての白絹を袋状に仕立てたものです。暑い季節には涼しげな生地で仕立てたものも使用されます。角隠しも袷仕立ての長方形の白絹を髪に留められるようにしたものです。角隠しは、最近では淡いピンクやオーガンジー素材もあるのでカジュアルな雰囲気にすることができます。とぢらを使用するかはお好み次第で自由に選ぶ事ができます。

色打掛


白無垢から色打掛にお色直しをして華やかに演出! ていねいな手織りの色打掛は何ものにも変えがたい華やかな光を放ちます。

着物の上に羽織って裾をひく 「打掛 」スタイルは近世の武家女性の礼装のひとつでした。形は、「小袖」の丈を一回り大きくしたもので、小袖を着て、帯を締めた上に打ち掛けて着るのでこの名前があります。

神前式では、挙式で白無垢を着た後、披露宴でお色直しとして色打掛を着用することが多いですが、挙式から色打掛を着たり、教会式の後の披露宴で色打掛を着ることもあり決まり事はありません。一般的な色打掛の種類としては生地に刺繍で模様を描く刺繍物、生地を織り込みながら模様を作る織物、絵画のように生地に模様を描く友禅物などがあります。そのほかにも唐織、手刺繍、佐賀錦、金彩箔、手描き友禅など伝統工芸品に近いものもあります。 最近では原色に近い色よりも黒や茶系の渋い色にもに人気が集まっています。数百人規模の披露宴会場では大胆な柄の織物や金箔物が映え、比較的少人数の招待制披露宴では柄が小さく緻密な手描き友禅や手刺繍などがお奨めです。

自分らしい、似合う打掛を選ぶには?


日常生活でほとんどきものを着ることがない私達の世代にとって、自分らしい、似合う着物を選ぶのは大変です。簡単にアドバイスいたしましょう。

基本的に小柄な人は小さめの可愛いらしい模様や総模様(1)、大柄な人は大きな柄や絵羽模様(2)、飛び柄などのはっきりした柄ゆきのものが似合います。また、素材は、小柄な人や華奢な人は、重厚な唐織りのもの、大柄な人はやわらかな印象の緞子織りを選ぶときれいに見えます。

実際に選ぶときは、掛けてみて色や柄の大きさと配置、映え具合を確認しましょう。そして、掛けたときに顔映りのよい色を選びましょう。洋服と同じで好きな色と実際に似合う色が異なることがありますから、よく見比べてみましょう。顔映りを確認するには襟元の色です。襟の色に着目して選びましょう。

(1)総模様


着物全体が細かい模様で埋め尽くされた模様で、小柄な人は可愛い柄を選ぶとバランスよく見えます。

(2)絵羽模様


大きな模様や連続したひとつのモチーフが縫い目にまたがっている模様で、一枚の絵になっていて格調高く豪華です。

黒引振袖


すっきりとした気品とレトロでクラッシックな雰囲気が魅力で大人気です。武家の婚礼衣裳として使われていた黒引振袖で、明治から昭和初期の女性はほとんどお嫁入りしました。

ドレス感覚でまとう黒の衣裳は、凛とした佇まいできりりとした品性を放ちます。 品良く控えめながら個性的な花嫁は自立した現代女性の強い意志を反映するかのようです。 「お引き 」 「お引きずり 」とも呼ばれる裾をひいた振袖が花嫁を包みます。

クラシックな赤の小物や、ブルーの個性的な小物を合わせることであなたのオリジナルスタイルを演出します。 格調を保ちつつ、ドレス感覚で着られます。格式のある式場にもモダンなレストランでも映えます。 黒地はしっとりとした品格と華やかさを合わせもつ地色です。

最近は黒のお引きずりに洋髪やブーケが人気です。語り継がれてきた日本の結婚式、その心を伝える黒引振袖は挙式にもお色直しにもふさわしい装いです。

黒の花嫁衣装の変遷


江戸時代には小袖がどんどん発達し、振り袖や留め袖が誕生しました。髪型も急速に進歩し、文金高島田ができあがりました。この時代の裕福な町人の娘さんは綿帽子を被って白無垢で式をあげ、式の後は色物の着物にお色直しをして、嫁ぎ先の家風に染まったことを表しました。

一方、同時期に庶民の間では「もう何の色にも染まりません」という意味の黒の花嫁衣装がうまれました。このころから、庶民の礼服が、黒ちりめんの紋付き、裾模様のきものだったからです。明治の花嫁の間では、下から白・赤・黒の三枚襲ねで着るのが流行しました。

昭和30年代前半まで黒振り袖の花嫁衣装が最も一般的になりました。時を経るに連れ少しずつ華やかさをましてきました。明治時代の終わり頃から、御殿女中をまねて角隠しが用いられるようになったり、身分違いで身につけることができなかった装身具をコーディネイトしたりして華美になってきました。そして、昭和初期から裾模様から総模様に変わり、平成の現在、黒振り袖に角隠しスタイルのレトロ調が人気となっています。